2. 最後通牒、来る





最後通牒

「うわあ!?」
「何だ、朝から騒々しい。」
『コロスコロスコロスコロス』
「誰!? この女の人! なんか裸なんだけど!?」
「私に聞くな。お前の友人ではないのか。」
「殺す殺す言ってるんだから、あなたの知り合いでしょ?」
「機体の識別信号は発しているようだが、識別不能。アンノウンだ。」
「でも関係者なんでしょ?」
「少なくとも、私の記憶にこの機体は存在していない。」
「じゃあ、あなたよりも未来から来たとか?」
「可能性は高い。」
『コロス』
「だが・・・何故、私まで攻撃対象に入っている。」
『特殊任務遂行特化型機体、及び、危険因子、抹消遂行。』
「うわ、食器棚が!」
「何故、建造物の破壊行動が出来る。歴史への過干渉となる行動が抑止されないというのか。」
「このままだと家が全壊しちゃうよ!?」
『消去』
「被害甚大。歴史への過干渉、及び任務の妨害行動と判断する。」
「どうするの?」
「止めるしかあるまい。住居を破壊されたくなければ場所を移動しろ。奴の狙いは我々だ。」
「ああっ! 今度はテーブルが! と、とりあえず庭にっ!」
『破壊』
「む、外壁に大穴が。」
「やっぱ庭も駄目! どこか、もっと広いとこ!」
「ならば河川敷に移動する。」
「う、うん!」
『コロス』





逃亡

「おい、何故、同じ方向に逃げる。」
「え?」
「奴の注意が何度も私に移ったはずだ。その隙にお前は別方向に逃げればよかったのでは無いのか。」
「そっちこそ。」
「お前を殺すのが私の任務だ。お前が殺されては困る。」
『コロス』
「殺される前に殺すっていう選択肢は?」
「この状況では困難だ。それに、奴の行動は歴史への過干渉となる可能性が高い。」
「じゃあ、止めるの?」
「奴が暴走しているというのなら、機能停止させなければならない。」
「・・・勝てる?」
「データが不足している以上、その問いに答える事は不可能だ。」
「負けないでね。」
「理解不能な言動だ。どちらが勝利しようとお前が殺害対象とから除外される事は無い。」
「・・・だけど、なんか、負けてほしくないんだから、しょうがないじゃない。」
「精神に異常を来したとしか判断できない発言だ。」
「それは、そうだけど。」
「お前を殺害するまで、私は機能停止する訳にはいかない。奴を止めた後、お前の殺害を再開する。お前は現状に
おいては生命維持を優先し、安全な場所に退避していろ。」
「・・・うん、わかった。」
『コロス』
「お前の相手は、私だ。」
『コロスコロスコロスコロス』