なおるよ!

「そういえば、夜には殺しにこないけど、何してるの? 別のバイト?」
「休眠している。」
「眠るの? ロボットなのに?」
「限りなく人間を模して作られた故に、バイオパーツも相応に使用されている。
それらを一定時間休ませなければならない。」
「不便だね。」
「だが、必要量の有機物さえ摂取すれば、内部からの再構築が可能だ。
この時代で入手不可能なパーツが破損して行動不能に陥る危険性も減少する。」
「そっかー。」
「・・・理解していないようだな。」
「おいしいもの食べて寝れば治るよ! ・・・ってことでしょ?」
「・・・極論で言うならば、ある意味正解だ。」
「わーい。」



ぐっもーにん

「おはよう。」
「死ね。」
「うわ、すごい挨拶。」
「・・・と、言いたいところだが、バイトに赴かなくてはならない時間だ。」
「いってらっしゃい。」
「私が戻る前に死ぬな。殺せなくなる。」
「分かってるよ。」
「よし、それならば今すぐ殺されろ。余計な手間が無くなる。」
「いや、その理屈はおかしい。」



この後、花壇の花を勝手に食べて怒られます

「ねえ、ごはん本当に要らないの?」
「不要だ。」
「食べ物、食べられるのに?」
「不要だ。」
「庭の草が無くなるのは助かるけどさあ。」
「ならば、それでいいではないか。」
「ちぇ。」
「何故私に構う?」
「だって、なんか気になるじゃない。」
「何故だ。」
「うー・・・ん。なんでかな。」
「理由すらないのに世話を焼くのか。」
「困ってる人をほっとけないから、かな?」
「お前が潔く殺害されれば、全ての問題は解決する。」
「それはちょっと違う。」



ラヴコメありがち展開

「ふんふふーん。」
「死ね。」
「きゃぁあああああ!!!?」
「・・・頭部へのダメージ大。疑似皮膚破損。」
「なっ、ななななっ、なっ・・・!?」
「・・・人間が無防備になるタイミングというものを考慮したが、有効ではなかったか。」
「・・・わかったらさっさと出てって。」
「無論だ。頭部偽装皮膚の損傷を修復しなければならない。だが、何故そこまで拒否反応を示す。」
「・・・ここはお風呂で、今、わたしは裸です。」
「だからなんだというのだ。」
「・・・だから、その・・・。」
「人間の道徳観や貞操観など、私が考慮する必要はない。」
「あるとおもいます。」



夜襲

「んー・・・・・・むにゃ・・・。」
「作戦決行。」
「・・・っひゃぁあああ!?」
「む、覚醒してしまったか。」
「・・・なに・・・してんの?」
「夜襲だ。」
「今、わたしの上に乗って・・・た、よね・・・。」
「うむ。馬乗りになるまでは成功したが、はね飛ばされて壁に激突してしまったな。」
「やっぱり・・・。」
「確実にノンレム睡眠状態だった筈だが。」
「眠りはもともと浅い方だから。」
「ふむ。この方法は有効ではないと判断する。」
「だったら出てってよ。」
「作戦失敗。所定位置にて休眠を再開する。」
「あー・・・びっくりした・・・・・・・・・まだ、どきどきしてる・・・。」



奇襲、既習

「第二作戦は失敗だ。」
「・・・で? それが、やっと眠れそうになってきたわたしの布団を光線で焦がした言い訳?」
「・・・作戦を中止したと見せかけて再び実行に移すというのは、有効な手段だと判断していた。」
「あっそう。」
「いくら眠りが浅いからといって、この距離からの射撃をかわすというのはあり得ないのではないか。」
「そんな事言われても。」
「実はお前は、ターゲットと入れ替わった精巧なアンドロイドではないのか?」
「・・・。」

「腹部へのダメージ大。早急な修復を要する。」
「・・・世の中には言っていいことと悪いことというのがあってね?」
「・・・身をもって、理解した。記憶しておこう。」
「よろしい。」



そうね大体ね

「おはよう。」
「今、何時だ。」
「あー・・・、遅刻?」
「・・・休眠時間を通常時と同様に設定してしまった。」
「やーい、自業自得ー。」
「・・・店長におこられてしまう。」





緊張感のない命のやりとりは続きます
なんだかんだで、まだまだ続きます